2025年3月度 衛生委員会からのお知らせ

従業員 各位

日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。

3月度の衛生委員会の資料になります。

3月度のテーマは「加齢黄斑変性」です。

皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、

業務に努めていただきたいと考えております。

ご安全に!!

 

    

2025年3月度

衛生委員会資料

産業医 坂井 伸好

 

加齢黄斑変性とは——原因・症状・治療法を解説

加齢黄斑変性とは、老化に伴い、眼の中の網膜というカメラのフィルムにあたる膜の中心に出血やむくみをきたし、視力が低下する病気です。放置すると進行して、視力の回復が不能になってしまう、厄介な病気です。現在視覚障害の原因疾患の4位で、福岡県の久山町で行われた健診結果では発生率が50歳以上の0.87%でした。男性に多く、近年、高齢化社会になるにつれ、その増加が問題になってきております。

  • 眼のしくみと黄斑

眼は、カメラにたとえられますが、眼の内側に網膜という、フィルムにあたる膜があります。網膜には、視細胞といって、ものを見るための細胞がぎっしりならんでいます。網膜の中心部は黄斑部とよばれ、特別な構造になっており、細かいものを識別したり、色を見分ける働きをもった部分で、網膜の中では一番大切な場所です。人が視力1.0を得るには、黄斑部が健全でなければなりません。黄斑部が障害されると、周囲は見えても、細かいものの識別ができなくなります。

網膜の外側には、脈絡膜という、血管に富んだ膜があります。一般に加齢黄斑変性は黄斑部の後ろの脈絡膜に新生血管という、にわか作りの異常血管が発生し、黄斑部を障害する病気です。

眼のしくみ

 

加齢に伴う白内障は、水晶体再建術という手術があり、治すことができます。しかし、網膜は、たった一枚のカメラのフィルムで、とりかえることはできません。現時点では、網膜の視細胞、すなわち、物を見るための細胞が破壊された場合、再生させる治療はありません。

加齢黄斑変性が深刻な病気である理由は、障害を受けた部分の網膜を再生させることができないことです。しかし、早期に発見できた場合、ある程度進行をくいとめ、被害を最低限度にすることができます。

  • 暮らしの中のこころがけは加齢黄斑変性の予防につながります。

禁煙

禁煙が最も大切です。喫煙は加齢黄斑変性の最大の危険因子です。たばこがやめられない方は、禁煙外来などにかかり、速やかに禁煙しましょう。

紫外線予防

太陽光などの紫外線は網膜にダメージを与え、加齢黄斑変性になりやすくなります。サングラスで眼を日頃から保護しましょう。

食事のバランス

食事のバランスも大切です。
網膜の細胞を障害する活性酸素の悪影響を軽減するための抗酸化ビタミン(ビタミンE、ビタミンC、ベータカロチンなど)を含む食品、ミカン、大豆、玄米、ニンジン、カボチャや、抗酸化酵素を構成するミネラル(亜鉛など)を含む食品(牡蠣や海藻など)を積極的にとりましょう。
緑黄色野菜、とくに黄斑を保護する作用のある色素ルテインを含む、ホウレンソウ、ケール、ブロッコリーも積極的に食べましょう。
またオメガ3脂肪酸を含むイワシ、サンマ、アジなどの赤身の魚も積極的にとるようにしましょう。

他には、肥満や高血圧、脂質異常症も危険因子と考えられております。

  • サプリメントは有効か?

加齢黄斑変性の予防のために様々なサプリメントが販売されております。この中には、海外の大規模臨床試験の結果に基づいて有効性が証明されているものもあります。すでに加齢黄斑変性になっている方は反対の眼を守るためにも、医師と相談してサプリメン卜の服用を検討するのも良いと思います。

まだ発生していない方でも、眼底検査でその徴候がみとめられるような方は、医師と相談してサプリメントを服用するのもひとつの方法です。

 

加齢黄斑変性は以前と違って、有効な治療や予防が可能な病気に変わりつつあります。
決してあきらめることなしに、予防や治療を積極的に行うことが、老後の生活の改善につながります。