従業員 各位
日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
12月度の衛生委員会の資料になります。
12月度のテーマは「痔について」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!!
2023年12月度
衛生委員会資料
産業医 坂井 伸好
痔にはどのような種類がある?痔核・裂肛・痔瘻について解説
多くの日本人が悩まされている症状の一つに、痔があります。痔は生命に関わる重篤な病気ではありませんが、痛みや出血を繰り返すなど生活に支障をきたしかねません。また、恥ずかしさから悩みを相談できない人もいます。
今回の記事では、肛門三大疾患である痔核(いぼ痔)・裂肛(切れ痔)・痔瘻(あな痔)について解説し、それぞれの種類別の症状・原因・治療法などの特徴を紹介します。
1.そもそも痔とは?
2.【痔の種類1】痔核(じかく)
2-1.内痔核
2-2.外痔核
3.【痔の種類2】裂肛(れっこう)
4.【痔の種類3】痔瘻(じろう)
自分にあてはまる痔の種類があれば早めの対策を
1.そもそも痔とは?
痔とは、肛門の周りへの負荷によって静脈叢の血流が悪化して生じる病気の総称で、痔疾(じしつ)とも呼ばれます。痔は年齢・性別を問わず発症しますが、女性では妊娠や出産をきっかけに症状が現れる場合もあります。
痔の種類は痔核・裂肛・痔瘻がありますが、おもな発症原因は長時間の同じ姿勢や便秘・下痢などによって肛門周辺へ負担をかけることです。なお、痔の症状としては、痔核が特に多くみられます。
2.【痔の種類1】痔核(じかく)
痔核とは、いわゆる「いぼ痔」のことです。できる場所によって、痔核は内痔核と外痔核の2種類に分けられます。
2-1.内痔核
内痔核とは、歯状線(直腸と肛門の境界線)よりも内側にある直腸にできる痔です。一般的にいわれる「いぼ痔」は、痔核のなかでも内痔核を指します。内痔核は、患者数が最も多く報告されている痔です。
長時間の同じ姿勢や便秘は、内痔核を引き起こす要因です。これらの要因によって肛門周りに大きな負担がかかると、内痔静脈叢がうっ血してふくらみ、内痔核になります。
多くの内痔核では、痛みをともなわない鮮やかな色の出血がみられます。これは、内痔核ができる直腸には知覚神経がないためです。症状の進行度によって、内痔核は4段階のグレードに分けられます。
第1度:肛門外に痔核が出ない状態
第2度:排便時に痔核が肛門外に出るが、自然に直腸内に戻る状態
第3度:おなかに力を入れると痔核が脱出し、自然には元の位置に戻らず、指で押し込まなければならない状態
第4度:痔核が肛門外に出たままになった状態
治療法には、痔核の状態や患者の希望が考慮されます。生活指導のほか、患部の冷却、坐薬や塗り薬の使用、場合によっては手術が検討されます。
2-2.外痔核
外痔核は、歯状線の外側にある肛門周囲に生じる痔核です。便秘や運動時に強くいきむと外痔静脈叢にうっ血や内出血が起き、血栓が作られることで外痔核を形成します。
内痔核とは異なり、激しい痛みが生じるのが外痔核の特徴です。これは、外痔核ができる肛門周辺には知覚神経が多く存在するためです。内痔核と同様に、痔核の状況や患者背景に基づいた治療法が選ばれます。
3.【痔の種類2】裂肛(れっこう)
裂肛は一般的に「切れ痔」と呼ばれ、排便をきっかけに肛門近くの皮膚が切れる症状です。20~40歳代の女性に多い痔で、女性では痔核に次いで多くみられます。
裂肛では、硬い便の排泄や下痢が続くことで、肛門上皮に裂傷が生じます。排便時に強い痛みと出血が起こるため排便を避けようとすると、さらに便が硬くなり悪循環をまねくことになります。
裂肛を繰り返して慢性化すると、肛門を狭くして肛門ポリープなどの原因になるため、早めの対処が大切です。裂肛は坐薬や排便コントロールなどでの治療が中心ですが、改善がみられない場合は手術が検討されるケースもあります。
4.【痔の種類3】痔瘻(じろう)
痔瘻とはいわゆる「あな痔」を指し、直腸と皮膚の間に穴ができる痔です。男性では、痔瘻は痔核に次いで多くみられます。
歯状線の付近に下痢便などの細菌が感染すると膿が溜まり、溜まった膿を外に出すために、肛門近くの皮膚との間に管が作られます。膿が溜まったままだと腫れや発熱とともに激しい痛みがありますが、管を通って膿が排出されると症状は軽減します。
痔瘻の穴は、一度できると自然にはふさがらないため手術が必要です。痔瘻予防のためにも、生活習慣を整えて慢性の下痢を防ぎ、体の抵抗力を維持しましょう。
自分にあてはまる痔の種類があれば早めの対策を
痔は、肛門付近のうっ血や排便状態の不良などによって引き起こされる病気です。
痔の種類には痔核(いぼ痔)・裂肛(切れ痔)・痔瘻(あな痔)の3つがあり、それぞれ症状が現れる部位や症状、治療法が異なります。
痔は命に関わる病気ではないものの、痛みや出血を繰り返せば日常生活に支障をきたしかねません。自分にあてはまる痔の種類があると感じる場合は、専門医に相談するなど早めに対処しましょう。