2023年4月度 衛生委員会からのお知らせ

従業員 各位

日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。

4月度の衛生委員会の資料になります。

4月度のテーマは「脂肪肝について」です。

皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、

業務に努めていただきたいと考えております。

ご安全に!!

2023年4月度 

衛生委員会資料

産業医 坂井 伸好

 

「脂肪肝」になると現れる症状・原因とは?

 

脂っこい食事やアルコールの摂取は、適度であれば満足感も高く明日の活力にもなるものです。しかし、暴飲暴食や過度なアルコール摂取は「脂肪肝」の原因にもなり、肝臓に負担をかけてしまいます。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状が出にくいのが特徴です。

 

脂肪肝とはどのような状態ですか?

脂肪肝とは、何らかの原因により肝臓に中性脂肪がたまった状態です。日本人の3人に1人が脂肪肝になっていると言われています。

 

中性脂肪には、本来「体の中にエネルギーを貯めておく」という役割があります。しかし、中性脂肪が過度に増えると肝臓の病気を引き起こす原因となってしまうのです。

 

肝臓に脂肪が貯留して肝臓の重量が5%を超える、もしくは肝細胞の30%以上に脂肪が蓄積すると脂肪肝と診断します。また標準体重から20%以上の重度肥満の場合、約2030%以上の人に脂肪肝が認められます。

 

脂肪肝の多くは、生活習慣病であるメタボリックシンドロームを合併しているため、脂質異常症を起こしやすく、動脈硬化の原因になることが分かっています。糖尿病を合併する人も少なくないでしょう。

 

脂肪肝の一部は進行すると肝硬変、肝臓がんなどを発症することもあるため、運動や食事の見直しをして脂肪肝を改善することが大切です。

 

脂肪肝は大きく「アルコール性脂肪肝」と「非アルコール性脂肪肝」の2つに分けることができます。

アルコール性脂肪肝

アルコール性脂肪肝とはどのような状態ですか?

アルコール性脂肪肝は、アルコールの飲みすぎが原因で起こる脂肪肝です。通常、アルコールは肝臓で解毒されて体外へと排出されます。しかし、体外へ排出される過程で、肝臓の働きに異常が起こり、肝臓に脂肪が増えすぎてしまうのです。

 

アルコールが原因で肝臓に炎症が起こることを「アルコール性脂肪性肝炎(ASH)」といい、進行すると肝硬変に移行します。

 

非アルコール性脂肪肝

非アルコール性脂肪肝とはどのような状態ですか?

非アルコール性脂肪肝とは、アルコールをほとんど飲まない人に多く見られる脂肪肝です(アルコール摂取の上限として男性30g/日未満、女性20g/日未満)。原因は、肥満や運動不足、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣に起因するものが多く、これらの原因により、インスリンの働きが低下して肝臓に脂肪がたまってしまいます。

 

非アルコール性脂肪肝を放置すると、肝硬変や肝がんへと移行する「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」になる可能性があるため、生活習慣の改善が特に大切です。

 

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)になると、510年の間に525%の方が肝硬変へと進行していることが分かっています。

 

脂肪肝になるとどのような症状が現れますか?

脂肪肝になると、初期段階ではほとんど自覚症状はありません。多くの場合、健康診断や人間ドックで指摘され、進行すると主に以下のような症状が現れます。

倦怠感

腹部膨満感

腹部が引っ張られるような痛み

食欲不振

体のだるさ、重さ

逆流性食道炎

吐血

しびれ、歩行障害

アルコール性脂肪肝の場合、アルコール依存症、うつ病、睡眠障害などアルコール離脱による症状を合併することもあります。アルコールの飲み過ぎは、肝臓だけでなく体全体に負担をかけてしまうため、適量を楽しむことが大切です。

 

脂肪肝の原因を教えてください。

脂肪肝の主な原因は以下です。

肥満

アルコールの飲みすぎ

運動不足

暴飲暴食

糖尿病

甲状腺機能異常

ステロイド剤の服用

栄養不良による代謝異常

また、お酒が好きな人では、80%以上に脂肪肝を認めます(エタノール摂取が100g以上/1日で5日間以上)。さらに、BMI25以上で30%、BMI30以上で80%に脂肪肝があることが分かっています。その原因の大半は、暴飲暴食とアルコールの過剰摂取です。

 

健康診断で脂肪肝を指摘されたら何科を受診すればいいですか?

まずは消化器内科(肝臓内科)を受診して詳しい検査を受けましょう。健康診断を受けておらず、倦怠感や食欲不振などがある場合は、内科を受診し検査を受けることが大切です。

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