従業員 各位
日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
11月度の衛生委員会の資料になります。
11月度のテーマは「過敏性腸症候群について」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!!
2022年11月度
衛生委員会資料
産業医 坂井 伸好
過敏性腸症候群ってどんな症状? 原因や治し方・予防のポイントを解説!
便秘や下痢は、健康状態が悪化しているサインでもあります。どちらも決して珍しくない体の不調ですが、長期間続いているならば重大な病気が隠れている可能性も高いでしょう。しかし、中には何度検査をしても異常がないのに便秘や下痢が収まらない人もいます。これが、過敏性腸症候群という病気です。
今回は、過敏性腸症候群の原因や症状・治し方などをご紹介しましょう。病院で検査をしても何も異常がないわけですから、通常の便秘や下痢の治療のほかに特別な治療が必要です。過敏性腸症候群に悩んでいるという方はぜひ読んでみてくださいね。
過敏性腸症候群の特徴とは?
まず始めに、過敏性腸症候群の症状や特徴をご紹介しましょう。下痢になるというイメージが強い病気ですが、下痢以外にも症状があるのです。
1-1.便秘や下痢など排せつの異常が起こる
過敏性腸症候群とは、便秘や下痢など排せつの異常が起こる病気です。といっても、異常が起こる期間が限られているのが、この病気の特徴。平日の午前中など「これからストレスがかかることが起きそうだ」という前に、発生することが多いです。平日でも午後から夜間にかけてや、休日などは異常が起こりにくいと言われています。ちなみに下痢になるのは男性が多く、便秘の症状が出るのは女性が多いそうです。
また、しばらく便秘が続いた後に下痢になる混合型に悩まされる人もいます。さらに、腸内にガスがたまって腹部膨満感に苦しむ方も少なくありません。
1-2.検査をしても異常が出ない
便秘や下痢は、重い病気の症状である場合があります。大腸に悪性腫瘍(あくせいしゅよう)やポリープができたりしても、ひどい便秘や下痢になることがあるでしょう。しかし、過敏性腸症候群の場合は、検査をしても異常が発見できないことがほとんどです。ですから、整腸剤や下剤など便秘や下痢の症状を和らげる対症療法(たいしょうりょうほう)しかできずに、長い間苦しまれる方も少なくありません。
1-3.日常生活に支障が出る方もいる
過敏性腸症候群は、電車の中などすぐにトイレへ行けない状況だと急に症状が出る場合があります。一度でもつらい思いをしてしまうと、「またトイレにいけない状況で、同じような症状が出るのではないか」と考えてしまう方もいるでしょう。そうなると、日常生活にも支障が出る場合も少なくありません。
また、夕方や休日は症状が出ない場合も多いので、家族などに「仮病ではないか」と疑われる人もいます。つらい思いを周りの人に理解してもらえないことで、よけいに症状が悪化する方もいるでしょう。
過敏性腸症候群の原因とは?
では、過敏性腸症候群の原因とはいったい何でしょうか? この項では、原因の一例と過敏性腸症候群にかかりやすいタイプなどをご紹介します。
2-1.過敏性腸症候群の原因とは?
過敏性腸症候群の原因は、まだはっきりとはわかっていません。しかし、ストレスが原因のひとつであることは、間違いないでしょう。大きなストレスがかかると、脳からストレスホルモンが分泌され、腸の働きがおかしくなると言われています。
社会人になると、仕事などで大きなストレスを感じることも、珍しくありません。ストレスホルモンの分泌と腸の異常な動きがくり返されると、やがて腸は知覚過敏になります。知覚過敏になった腸は、わずかな刺激でも強い症状が出るようになるのです。これが、過敏性腸症候群のメカニズムのひとつと言われています。
2-2.過敏性腸症候群になりやすいタイプとは?
現代はストレス社会、と言われています。生きていれば大なり小なりストレスを感じることもあるでしょう。しかし、ストレスを感じる人すべてが過敏性腸症候群を発症するわけではありません。
過敏性腸症候群を発症しやすいのは、感情表現が苦手な方が多いのです。ストレスを感じても、それを発散する方法を知っていればためこむことはありません。しかし、ストレスを感じてもそれをうまく発散できない人もいます。
ストレスの発散方法は感情の表し方によく似ているのです。悲しいことやつらいことがあっても、それを表に出さずに笑顔を崩さない人ほど、ストレスもたまりやすいでしょう。行き場を失ったストレスが、腸の異常となって現われるのです。ですから、過敏性腸症候群とは、今まで押し殺してきたストレスが発散されている状態とも言えるでしょう。
過敏性腸症候群の治し方とは?
では、過敏性腸症候群はどのような治療法があるのでしょうか? この項では、過敏性腸症候群の治し方の一例をご紹介します。
3-1.整腸剤などで腸の調子を整える
過敏性腸症候群の場合は、下痢や便秘で腸が付かれていることも多いです。ですから、整腸剤や便秘薬でまずは腸の調子を整える治療をしていくことが一般的でしょう。
また、整腸剤や便秘薬を処方されると、「これでつらい症状から解放される」とほっとする方もいると思います。
3-2.不安な気持ちを解消する薬も処方されることがある
前述したように、過敏性腸症候群は精神的なことが原因のケースが多いです。ですから、症状だけ緩和しても、根本的な解決にはなりません。内科と精神科が協力して不安な気持ちやストレスを和らげる薬が処方されることもあるでしょう。また、心療内科で治療を受けるように勧められることもあります。ストレスが少なくなって精神的にリラックスすると、症状も和らいでくることが多いです。
3-3.ストレスの原因を探る
しかし、いくら薬で症状を和らげても、ストレスをためこむ習慣が変わらなければまた再発の可能性があります。ですから、時間がかかってもストレスの原因を探したりストレスをためこまないようにする方法を考えたりしましょう。場合によってはカウンセリングなども有効です。
3-4.食生活にも気を配る
いくら異状がないとは言っても、便秘や下痢をくり返した腸は弱っています。ですから、腸を刺激するような食べ物はさけましょう。からいものや脂っこいもの、酸味の強いものなどはできるだけ食べない方がよいですね。
また、ストレスがたまると暴飲暴食してしまう方は、その習慣をやめてください。さらに、夏は冷たい食べ物が冬は熱い食べ物が恋しくなる時期です。でも、熱すぎたり冷たすぎたりする食べ物もできる限りさけましょう。
おわりに
いかがでしたか? 今回は。過敏性腸症候群の原因と治し方についていろいろとご説明しました。
まとめると
- 過敏性腸症候群はストレスが原因のことが多い。
- ストレスをためこみやすい人や、感情表現が下手な人ほど発症しやすい。
- 腸の調子を整えてストレスの発散方法を見つけ出すと完治しやすい。
- 腸に負担のかかる食べ物は食べない。
ということです。現在は、若い人ほど過敏性腸症候群にかかりやすいと言われています。症状を他人に説明するのが恥ずかしいので、ひとりで悩んでいるという方もいるでしょう。しかし、過敏性腸症候群が自然に治癒する可能性は決して高くはありません。同じような症状で悩んでいる方は、たくさんいるのです。
また、過敏性腸症候群かと思ったら違う病気だったということもあるでしょう。ですから、便秘や下痢が1か月以上治らないという場合はできるだけ早く病院に行ってください。