従業員 各位
日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
6月度の衛生委員会の資料になります。
6月度のテーマは「慢性疲労症候群について」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!!
令和2年6月度
衛生委員会資料
産業医 坂井 伸好
「慢性疲労症候群」をご存知ですか?
常に身体が怠く、疲労感があり、休日にたっぷり休養をとっても回復しない状態が長期で続く場合、
慢性疲労症候群である可能性があります。
慢性疲労症候群は疾病のため、市販薬で対処することはできません。
しかし、日常的な疲労と見分けることが難しく、判断が付きにくいのも事実です。
慢性疲労症候群とは、日常生活が著しく損なわれるほどの強い全身倦怠感、
慢性的な疲労感が休養しても回復せず6ヶ月以上の長期にわたって続く状態です。
同時に発熱、リンパ節腫大、咽頭痛などの感染症様症状、頭痛、筋肉痛、関節痛、脱力感などの膠原病様症状、睡眠障害、思考力低下、抑うつ、不安などの精神・神経症様症状などの多彩な症状も現れます。
慢性疲労症候群は筋痛症性脳脊髄炎とも呼ばれ、CDC(米国疾病対策センター)により 1988年に慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome:CFS)と提唱された疾患概念です。
一方,同様の病態が英国・カナダなどでは
ME (Myalgic Encephalomyelitis:筋痛性脳脊髄炎)と されており,
近年は ME/CFS と併記されることが多いです。
原因・病態は明らかになっておらず、一般的な血液検査、尿検査、画像検査では分かりません。
そのため、”市販薬では対処することができません。”
慢性臓器不全、慢性感染症、慢性炎症性疾患、主な神経性及び代謝・内分泌疾患、
双極性障害・統合失調症・精神病性うつ病などの器質的疾患・ 病態を除外された上で、
上記の症状がある場合、慢性疲労症候群と診断されます。
・厚生労働省(慢性疲労症候群患者の日常生活困難度調査事業)
普通の疲れは、質のいい睡眠やバランスのよい食事など十分な休養を取ったり、
不足している栄養素を補給したりすることで回復する疲労です。
慢性疲労症候群の疲労は、十分な休養をとっても回復しない疲労になります。
以下のような治療が考慮されます。
・抗酸化療法(多量のビタミンC、CoQ10など)
・免疫賦活療法(漢方薬など)、
・向精神薬(SSRI、抗うつ薬、抗不安薬など)
・精神療法(認知行動療法など)
・運動療法
高いストレスの状態が続くと心身の疲労は蓄積します。
慢性的な疲労状態に陥ると免疫力は低下し、心身の不調が引き起こされやすくなります。
疲労を感じた時は、こまめに休養を取るように心がけましょう。
普通の疲労とは異なるのが「慢性疲労症候群」です。病状も多岐にわたります。
長期的な疲労や倦怠感が続き、十分な休養をとってもなかなか改善しない場合は、医療機関で受診しましょう。