衛生委員会資料従業員 各位
日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
6月度の衛生委員会の資料になります。
6月度のテーマは「膀胱炎について」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!!
令和元年6月度
衛生委員会資料
産業医 坂井 伸好
膀胱炎ってどんな病気?女性は特に要注意!
女性に多いと言われる膀胱炎。悩まされている女性も、沢山いるのではないでしょうか。今回は、膀胱炎の原因と症状についてご紹介します。
膀胱炎はなぜ起こるの?
膀胱炎は、大腸菌や腸球菌などの細菌が膀胱内に侵入し、そこで炎症が起きることによって生じる病気です。
膀胱炎は、急性膀胱炎と慢性膀胱炎のふたつに大きく分けられます。
急性膀胱炎
膀胱や尿道に病気がない状態で、大腸菌などの細菌が入ることによって起きる膀胱炎です。若い女性に多くみられます。
慢性膀胱炎
膀胱や尿道に病気があることによって細菌が膀胱内に住みつき、慢性的に膀胱炎を繰り返す状態です。
慢性とされているものは、再燃(同じ病原体で繰り返す状態)と再感染(別の病原体によるもの)に分けられます。
膀胱炎の3つの症状
1.残尿感
トイレで尿を出したにも関わらず、まだ膀胱内に尿が残っているような感じがします。これは、炎症によって膀胱が過敏になっているために現れる症状です。
2.頻尿
尿を出してもすぐにトイレに行きたくなってしまう頻尿も、膀胱炎の症状の一つです。これも、膀胱炎の炎症によって膀胱が過敏になり、大脳に誤って排泄を促す指令が送られるために生じます。
3.血尿白濁尿
炎症によって膀胱内部の粘膜が傷つき、微量の出血を伴うことがあります。また、増殖した細菌を殺すために戦った白血球の死骸が尿の中に出ることにより、尿にモヤモヤとした白いものが出て濁ることもあります。
この他にも、排尿痛や尿の臭いがきつくなるなどの症状が出ることもあります。
膀胱炎の4つの原因
では具体的に、膀胱炎の原因となる3つの事柄を見ていきましょう。
1.トイレを我慢する
トイレを我慢すると、膀胱内に溜まった尿の中で細菌が繁殖し、炎症を起こすきっかけを作ってしまいます。
尿意を感じたら、我慢せずにトイレへ行きましょう。
2.不衛生な状態での性交渉
女性の場合尿道が短く、膣や肛門と尿道口が近いため、急性膀胱炎になる確率が圧倒的に高いです。また、性器周辺には膣内の細菌や大腸菌などもいます。清潔でない状態での性交渉は、そういった細菌を尿道に押し入れていることになってしまいます。
性交渉の前後では陰部を綺麗に洗い流しましょう。また、性交渉後に尿を排泄することで尿道にいる細菌を外に流し出すことも大切なことです。
同様の理由で、女性は排便時にも尿道口に細菌が入ってしまうことがあります。
3.前立腺炎などの疾患
男性の場合、膀胱の真下にある前立腺がなんらかの原因で炎症を起こすことで尿道を圧迫すると、尿が完全に排泄されず膀胱内に溜まり、そこで細菌が繁殖して膀胱炎を起こすことがあります。
前立腺肥大症のほか、尿路結石や、尿路にできた腫瘍が原因となることもあります。年配の男性に多くみられるのは、これらの疾患によって起こる膀胱炎です。
いずれにせよ、尿を出しにくく感じるようになったら、一度専門の医療機関を受診してみましょう。
4.温水洗浄便座の使用
繰り返す膀胱炎の原因として、ウォシュレットやシャワートイレ(ビデも含む)の使用があげられます。
ノズルの汚染や、本来防御している膣粘液が使用により洗浄されることで、防御能が低下して逆に感染の原因になるため注意が必要です。
高熱が出たら要注意!膀胱炎から他の病気へ発展することも。
膀胱炎を発症し、その細菌が腎盂(腎臓から作り出された尿が集まる部屋。腎盂→尿管→膀胱と繋がっている)へと侵入すると、腎盂腎炎を起こしてしまうことがあります。
腎盂腎炎を起こすと、38度以上の高熱や悪寒などの症状が現れます。腎盂腎炎は、きちんと薬物療法を行えば予後は良いですが、そのまま放置すると慢性化します。腎臓へダメージが加わり、最悪の場合は腎不全へ発展することもある病気です。たかが膀胱炎と思っていると、とんでもない病気を招いてしまうのです。
膀胱炎の6つの予防策
膀胱炎は、生活の中でほんの少し注意をするだけで防げる病気です。
以下のようなことに気をつけてください。
- 水分を十分にとる習慣をつける
- 排尿を我慢しすぎない
- 下半身の冷えを防ぐ
- 排尿・排便後は、ペーパーを前から後ろに使う
- 陰部を清潔に保つ(生理期間中は特に注意)
- 性交渉直後に排尿を行う
膀胱炎は、一度発症すると再発しやすい病気です。膀胱炎にかかったことがある方は再発防止のために、かかったことがない方も膀胱に細菌を侵入させないために、上記の事柄に気を配っていただけると良いでしょう。